2024年06月

「帰れない山」

2022年のイタリア映画。ベストセラー小説の映画化。都会育ちの少年が、父と休暇を過ごしたアルプス山麓の小さな村で、そこに住む貧しい牛飼いの少年と知り合う。その後成長した二人は折につけ山で共に過ごし、かけがいのない友情をはぐぐむようになる。半世紀に及ぶ二人を中心にした独自の世界だが、やはり世間の波には購えなくなっていく。淡々と描いていて、詩情あふれていた。評価 〇

「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」

イギリス映画の新作。時は1988年。名優アンソニー・ホプキンスが演じる老人が、これまで大切にしてきたスクラップブックがあった。それは50年前の1938年にチェコの戦争難民の子供たちをイギリスに養子として受け入れることを記録したものだった。これを明らかにすることによって、彼を始め善意のボランティアで活動していた名もない人々がいたことが世に伝わる。669名の子供がイギリスに来て、いまや6000人にまで増えていた。感動の実話に基づく映画で、いまだからこそ忘れてはいけない事実があった。 評価 ◎

「九十歳。何がめでたい」

新作邦画。現在101歳を超えた作家:佐藤愛子氏のエッセイの映画化。但し、フィクション喜劇として作っている。彼女を演じるのは草笛光子さん。シチュエーションは同じで、様々なエピソードも同様だろうが、そこは映画。ダサい中年の編集者(唐沢寿明)と共に、90歳前で断筆宣言したことを翻して、エッセイを綴る様子を楽しく見せてくれた。 評価 〇プラス

「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリデイ」

新作洋画。原題は前半部で、『居残りの者たち』で、うまい副邦題をつけたものだ。1970年のクリスマスシーズン、ボストン郊外の全寮制の高校が舞台。クリスマス休暇をほとんどの者はそれぞれ家に帰るのだが、その中で一人両親のゴタゴタで帰れなくなった高校生、教師の中で誰か一人付き添わなくてはいけなくなった古代史が専門の教師、それに最近息子を戦場で亡くした料理長。その3人で過ごした2週間を描いた佳作。 評価 〇

「ディア・ファミリー」

新作邦画。実話に基づく話。1970年代、名古屋の町工場の経営者の男性が主人公。次女が先天性の不治の心臓病で余命10年と宣告される。医学知識のない彼は、大学病院の医師たちと共に人工心臓の開発に望みをかける。しかし、それは叶わぬことだった。でも、その開発の過程で血管内のバルーンカテーテルの開発に成功した。家族思いの気持ちが伝わってきた佳作だった。 評価 〇プラス

「ほつれる」

2023年の邦画。絶妙な題名だ。夫婦関係が破綻している妻が主人公。若い男性と不倫関係を続けている。ある日1泊旅行のあと駅で別れた直後、彼は交通事故で死亡してしまう。それを見ていた主人公は自分自身や周囲の関係を見つめ直していく。夫との関係も「もつれて」しまう。評価 〇

「MEG ザ・モンスターズ 2」

2023年のアメリカ映画。昨日紹介した映画の続編。前作から5年。生き残ったクルーたちが再び海の調査と開発をしている。そんな時に海底資源の調達をしている輩たちと遭遇して戦う羽目になる。さらにかつての巨大な古代鮫と共に、未知の巨大生物が深海から出現する。それらが再び観光でにぎわうビーチを襲う。スケールが増したパニックアクション映画。ヒーローは「1」と同じジェンソン・ステイサム。 評価 〇プラス

「MEG ザ・モンスター」

2018年のアメリカ映画だが、中国資本が多く含まれている。海洋~海底調査をする目的で作られた人工の基地を背景に、海底の底深くにいた古代の巨大鮫が猛威を振るうパニックサスペンス映画。よく撮っているが、根本的にはヒーローものでもある。驚きながら楽しめた。 評価 〇プラス

「それいけ!ゲートボールさくら組」

2023年の邦画。題名からまず劇場で観たい映画ではなかった。老人とゲートボールを題材にした人情話。果たしてその通りの展開で、気楽に見られた喜劇。このような映画は誰が映画館で観るのだろうか? でもこのゆるさは現代の日本を象徴しているともいえる。 評価 〇マイナス

「イコライザー」

2018年アメリカ映画。デンゼル・ワシントン主演のスーパーアクション映画。元CIAのエージェントだった主人公は、いまは市井でDIYの職場で働いている。しかし、不条理なことは許さず、また弱き者たちには彼なりの援助をしている。ある時、深夜食堂で、ロシアの組織の下で売春をさせられている若い女性と知り合ったことから、ロシアンマフィアと戦うことになる。このようなスーパーヒーローものも時にはいい。 評価 ◎

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